iDeCo・小規模企業共済の年金受取は在職老齢年金に影響するのか

税務会計

結論

iDeCoや小規模企業共済を年金形式で受け取っても、在職老齢年金の支給停止計算には入りません。

在職老齢年金で問題になるのは、原則として次の2つです。

  • 老齢厚生年金の基本月額
  • 厚生年金に加入して得る給与・役員報酬・賞与

iDeCoや小規模企業共済は、税法上「公的年金等」に分類されることがありますが、在職老齢年金上の老齢厚生年金や賃金には該当しません。

在職老齢年金の計算対象

2026年度の在職老齢年金は、次の金額によって判定されます。

項目内容
基本月額老齢厚生年金の報酬比例部分などの月額
総報酬月額相当額標準報酬月額+直近1年間の標準賞与額÷12

2026年度は、両者の合計が月額65万円以下であれば、老齢厚生年金は全額支給されます。

65万円を超えた場合は、原則として超過額の2分の1が支給停止されます。(www.nenkin.go.jp)支給停止額(月額)=基本月額+総報酬月額相当額-65万円2支給停止額(月額) =\frac{基本月額+総報酬月額相当額-65万円}{2}

ここでいう「収入」は、一般的な所得全体ではありません。基本的には、厚生年金に加入して受け取る給与・役員報酬・賞与です。

iDeCoを年金で受け取る場合

iDeCoを年金形式で受け取ると、税法上は「公的年金等に係る雑所得」となり、公的年金等控除の対象になります。(www.ideco-koushiki.jp)

しかし、これはあくまで所得税法上の分類です。

iDeCoの年金は、

  • 老齢厚生年金の基本月額ではない
  • 会社から支給される給与・役員報酬・賞与ではない
  • 標準報酬月額や標準賞与額には含まれない

ため、在職老齢年金の計算には算入されません。

小規模企業共済を分割で受け取る場合

小規模企業共済は、受取方法によって税務上の扱いが異なります。

受取方法税務上の扱い
一括受取退職所得
分割受取公的年金等に係る雑所得
一括・分割併用一括部分は退職所得、分割部分は公的年金等の雑所得

(kyosai-web.smrj.go.jp)

分割受取は税法上「公的年金等」とされますが、厚生年金制度上の老齢厚生年金ではありません。

また、会社から支給される報酬・賞与でもないため、在職老齢年金の計算には算入されません。

老齢基礎年金も支給停止の対象外

老齢基礎年金についても、在職老齢年金による支給停止の対象外です。

給与や役員報酬が高く、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止される場合でも、老齢基礎年金は原則として全額支給されます。(www.mhlw.go.jp)

収入別の取扱い

受取収入在職老齢年金の計算税務上の主な扱い
老齢厚生年金基本月額として算入公的年金等の雑所得
老齢基礎年金対象外公的年金等の雑所得
iDeCoの年金対象外公的年金等の雑所得
小規模企業共済の分割受取対象外公的年金等の雑所得
小規模企業共済の一括受取対象外退職所得
給与・役員報酬総報酬月額相当額に算入給与所得
賞与直近1年間分を12で割って算入給与所得
株式の配当・売却益対象外配当所得・譲渡所得等
不動産所得対象外不動産所得
役員退職金原則として対象外退職所得

「公的年金等」という言葉に注意

混同しやすいのは、所得税法上の「公的年金等」と、在職老齢年金制度上の「老齢厚生年金」が同じではない点です。

iDeCoの年金や小規模企業共済の分割受取は、税金を計算する際には「公的年金等」に含まれます。しかし、在職老齢年金の支給停止を計算する際には、老齢厚生年金や給与として扱われません。

したがって、

税法上、公的年金等控除の対象になること
=在職老齢年金の計算対象になること

ではありません。

税金や社会保険料には影響する可能性がある

iDeCoや小規模企業共済の年金受取は、在職老齢年金には影響しませんが、所得税や住民税には影響します。

老齢基礎年金・老齢厚生年金・iDeCo年金・小規模企業共済の分割受取は、原則として合計したうえで公的年金等に係る雑所得を計算します。制度ごとに公的年金等控除を別々に使えるわけではありません。

例えば、次の収入がある場合、

  • 公的年金:年120万円
  • iDeCo年金:年60万円
  • 小規模企業共済の分割受取:年84万円

公的年金等の収入金額は、原則として合計264万円となります。

その結果、所得税・住民税のほか、加入状況によっては国民健康保険料や後期高齢者医療保険料、介護保険料などに影響する可能性があります。

まとめ

iDeCoと小規模企業共済を年金形式で受け取っても、在職老齢年金の支給停止計算には含まれません。

在職老齢年金に直接影響するのは、基本的に老齢厚生年金と、厚生年金に加入して得る給与・役員報酬・賞与です。

ただし、iDeCo年金や小規模企業共済の分割受取は、税務上は公的年金等に係る雑所得となります。そのため、在職老齢年金には影響しなくても、所得税・住民税や社会保険料には影響する可能性があります。

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