S&P 500の配当再投資込みの複利年率は、1957年の指数算出開始から2026年11月までで約10.8%。では、今後10年はどの程度のリターンが見込めるのか。配当利回り・1株当たり利益の成長率・PERの変化に分けて考え、配当利回り1.1%、利益成長率5.5%、PER横ばいのケースでは年率約6.7%と試算する。過去並みのリターンに必要な利益成長率も、初心者向けに数式で解説する。
S&P 500は1957年3月4日に、前身の90銘柄から500銘柄に拡大して算出を開始しました。それから2026年11月6日の米国市場終値までの約70年間で、配当を全額再投資した複利年率は約10.8%、株価の上昇だけでは**約7.6%**でした。いずれも米ドル建ての名目リターンで、税・運用コスト控除前です。約10.8%は、1957年の開始日から年末までの配当寄与を期間按分した概算です。 www.spglobal.com
将来の利回りは3つの要素から推計できる
\[ \text{配当再投資込みの年率リターン} \approx \text{配当利回り} + \text{1株当たり利益の成長率} + \text{PER変化の年率効果} \]
PERは、投資家が1株当たり利益の何倍の値段で株を買っているかを示します。たとえば、1株当たり利益が100ドルでPERが17.7倍なら、株価は1,770ドルです。利益が110ドルに増えてPERが横ばいなら、株価も10%上がります。ところが、PERが15倍に下がれば、株価は1,650ドルになります。利益が伸びても、株価に付く倍率が下がれば、リターンは押し下げられます。 digital-assets.vanguard.com
今後10年の試算
2026年11月6日時点の配当利回り約1.1%、予想PER17.7倍を出発点にします。配当利回りを毎年1.1%と置き、利益の伸びと10年後の予想PERを変えると、結果は次のようになります。 insight.factset.com
| シナリオ | 1株当たり利益の成長率 | 10年後の予想PER | 配当再投資込みの複利年率 |
|---|---|---|---|
| 利益の伸びが鈍く、PERも下がる | 年4.0% | 15倍 | 約3.4% |
| 利益は堅調に伸び、PERは横ばい | 年5.5% | 17.7倍 | 約6.7% |
| 利益が強く伸び、PERも上がる | 年7.0% | 20倍 | 約9.5% |
真ん中のケースでは、利益成長で株価が毎年1.055倍になり、配当の再投資で資産がさらに1.011倍になると置きます。掛け合わせると \(1.055\times1.011-1\approx6.7\%\) です。PERが変わる場合は、たとえば \(15÷17.7\approx0.847\) 倍という10年分の変化を、10乗根で1年分に直します。これは「同じ倍率を10回掛けると0.847倍になる、その1回分は何倍か」を求める計算です。
表の利益成長率と10年後のPERは、試算のために置いた仮定です。約6.7%はその条件での計算結果で、State Streetも別のモデルでS&P 500の10年以上のリターンを年率6.7%と推計しています。 www.ssga.com
過去の約10.8%を今後も再現するには
1958~2025年の実績を使い、開始年を1年ずつずらして59通りの10年リターンを計算すると、配当再投資込みの複利年率は**中央値が約10.7%、最低が約−1.4%、最高が約19.2%**でした。隣り合う期間は9年分が重なるため、この幅は過去のばらつきを示しています。 www.slickcharts.com
今の配当利回りを年1.1%、PERを横ばいと置くと、今後10年も年率10.8%を達成するには、1株当たり利益が年約9.6%で伸び続ける計算です。利益成長を年5.5%と置けば約6.7%になります。過去の実績と将来の試算を比較するときは、いまの株価から、どれだけの利益成長とPERの変化を見込むかが数字の違いを理解する鍵です。 us500.com

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