法人税の更正の請求と修正申告――確定済みの決算書との関係

税務会計

法人税の申告後に誤りが見つかった場合、訂正する方向に応じて「更正の請求」と「修正申告」を使い分けます。両者の基本的な手続は、国税通則法に定められています。

比較事項更正の請求修正申告
主な対象税額が過大、還付額が過少、繰越欠損金額が過少税額が過少、還付額が過大、繰越欠損金額が過大
典型例損金となる経費の計上漏れ売上の計上漏れ、損金不算入額の加算漏れ
手続の性質法人が税務署に訂正を求める法人自身が申告内容を訂正する
主な提出書類更正の請求書、理由を証明する資料、訂正計算資料など修正申告書、関係する別表など
税額変更の仕組み税務署が確認し、減額更正を行う修正申告書の提出により増額分が確定する
期限等原則、法定申告期限から5年以内。現在の事業年度の法人税の繰越欠損金額に係る請求は原則10年以内誤りが分かったら速やかに申告する
納付・還付認められれば過納税額が還付される追加税額を原則として提出日までに納付。延滞税・加算税が生じる場合がある

更正の請求は、税額の減額だけでなく、繰越欠損金額の増額も対象です。したがって、赤字で税額がゼロでも、欠損金額の誤りを訂正する意味があります。www.nta.go.jp

決算書を作り直すかどうかは、両者を区別する基準ではありません。

株主総会等で承認され、確定した過年度の決算書は、修正申告・更正の請求のために通常は作り直しません。確定済みの決算書を維持し、法人税申告書の別表や訂正計算資料で対応するのが基本です。

これは、会計上の利益と税務上の所得が異なるためです。法人税は、決算書の利益に別表四などで加算・減算を行って計算します。例えば、交際費の損金不算入額を加算し忘れた場合、決算書の交際費が正しければ、申告書の税務計算を訂正します。

一方、売上や経費そのものの計上漏れなら、税務申告の訂正に加え、会計上の誤りの訂正も必要です。会計処理は、適用する会計基準や誤りの重要性に応じて判断します。過年度決算書を作り直さないことは、誤りを放置することではありません。

例えば、過年度の会社負担社会保険料の計上漏れを発見した場合には、次の対応が考えられます。

  1. 過年度の損金に該当することを確認し、その年度について更正の請求を行う。
  2. 会計上は、適用する会計基準に従って、発見した期の前期損益修正損などで訂正する。
  3. 発見した期では、その費用を重ねて損金算入しないよう、別表四・別表五(一)等で必要な調整を行う。

更正の請求には、請求理由の事実を証明する書類が必要です。過年度決算書を再作成しなくても、訂正後の所得・税額の計算と証拠資料は用意します。www.nta.go.jp

なお、減価償却費など、**損金経理が要件となる項目には注意が必要です。**一般の経費の計上漏れと同様に、申告調整だけで控除できるとは限りません。後から減価償却費を加えた決算書を承認しても、当初の確定決算で損金経理していなかったため、損金算入が認められなかった裁決事例があります。www.kfs.go.jp

更正の請求と修正申告は、税務上の申告内容を訂正する手続です。確定済みの過年度決算書は通常そのまま保存し、税務の訂正と会計上の修正を対応させて処理します。

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