S&P 500・オルカン・金の長期比較――金ETF普及後の21年間を検証する

インデックス

金ETFが普及し始めた2004年末を起点にすると、2025年末までの成績は「金>S&P 500>オルカンの指数」です。ただし、途中では優劣が大きく入れ替わっています。

比較条件は、米ドル建て、株式は税引前配当を再投資、運用費用を控除しないものです。オルカンは投資信託そのものではなく、連動対象のMSCI ACWIを使います。金は配当がないため、現物価格の変化を使います。

2004年末~2025年末〈21年間〉複利年率〈CAGR〉資産の増加倍率
金約11.57%約9.96倍
S&P 500〈配当再投資〉約10.70%約8.46倍
MSCI ACWI〈配当再投資〉約8.86%約5.95倍

S&PとMSCIの公表年間リターン、NYUのDamodaran教授による金の年末データから計算しました。公表値の丸めにより小さな誤差があります。media.rakuten-sec.net

2004年末にそれぞれ100を投資し、その後追加投資しなかった場合の推移です。

金ETF普及後の3資産の比較

2004年末=100。米ドル建て、株式は配当再投資。各年末値。

Chart

■ S&P 500

■ MSCI ACWI

■ 金

YearSpAcGold
2004100100100
2005105111118
2006121135145
2007128152191
20088188200
2009102120250
2010117135323
2011120126361
2012139147382
2013184182277
2014209190277
2015212187243
2016238203263
2017290253296
2018277230294
2019364293350
2020431342434
2021555407418
2022454334420
2023574410476
2024717484599
2025846595996

S&P DJI、MSCI、NYUの公表データから計算。税・運用費用控除前。

期間を分けると、値動きの性格が明確になります。

期間〈各年末から年末〉S&P 500の年率ACWIの年率金の年率特徴
2004~2011年2.63%3.36%20.15%金が大きく先行
2011~2015年15.34%10.33%−9.42%株式が回復し、金は下落
2015~2025年14.82%12.28%15.14%3者とも上昇、金と米国株が接近

同じデータから計算した複利年率です。media.rakuten-sec.net

ここから、次のように分析できます。

金は、2004年以降の長期リターンでは株式に匹敵する資産でした。 この21年間では、配当再投資込みのS&P 500さえ上回っています。したがって、金を単に「利益を生まないため長期では必ず株式に劣る資産」と扱うのは、この期間の実績に合いません。

一方、金の上昇は滑らかではありません。 2011年末~2015年末には約32.7%下落しました。ETF普及で投資しやすくなっても、資金流出は起こります。世界金協会によると、2013~2015年には金ETFから計1,215トンが流出し、価格を下押ししました。people.stern.nyu.edu

S&P 500とオルカンの差は、この期間に米国株への集中が有利だったことを示します。 全世界株式への分散は、米国以外の株式も保有するため、米国株が突出して上昇した期間にはS&P 500に劣ります。ただし、この実績だけで今後も米国集中が有利だとは判断できません。

金ETFの登場は、2004年を比較起点にする合理的な理由になります。 金への投資経路が広がったという市場構造の変化があるためです。しかし、比較起点を変えるだけでも順位は変わります。

比較期間S&P 500ACWI金
1987年末~2025年末11.45%8.71%5.94%
2004年末~2025年末10.70%8.86%11.57%

1987年起点のACWIは、前回答の逆算による概算です。media.rakuten-sec.net

今回の比較が示すのは、「ETF普及後の金は長期でも強かったが、株式と金の優位は時期によって交代する」ということです。 金ETFは投資需要を広げた一因と考えられますが、金利・ドル相場・中央銀行需要なども動くため、好成績をETFだけの効果とは断定できません。

なお、2025年末までの好成績と現在の値動きは区別が必要です。2026年9月30日時点では金は月初から約6.6%下落しており、足元まで一貫して上昇しているわけではありません。www.reuters.com

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