ふるさと納税の返礼品と株主優待は、どちらも現金以外の形で受け取る経済的利益です。しかし、税法上は次のように所得区分が異なります。
| 受け取るもの | 所得区分 | 基本的な性格 |
|---|---|---|
| ふるさと納税の返礼品 | 一時所得 | 自治体から臨時に受ける謝礼 |
| 株主優待 | 雑所得 | 株式保有に基づいて得る投資上の利益 |
| 株式の配当金 | 配当所得 | 企業利益の株主への分配 |
この違いは、利益を受け取った原因にあります。
ふるさと納税の返礼品が一時所得になる理由
ふるさと納税は、法律上は自治体に対する「寄附」です。
返礼品は商品の購入代金に対する対価ではなく、寄附をした人に自治体が贈る謝礼と位置付けられています。
自治体は税法上「法人」とされるため、返礼品は法人からの贈与によって得た経済的利益として扱われます。法人からの贈与は非課税ではなく、臨時・一時的に得た利益として一時所得に分類されます。
つまり、返礼品は、
寄附者が自治体から一時的に受け取る贈り物
という扱いです。
国税庁も、ふるさと納税の返礼品による経済的利益は一時所得に該当すると明示しています。
参考:国税庁「『ふるさと納税』を支出した者が地方公共団体から謝礼を受けた場合」
ふるさと納税の寄附額を全額差し引けるわけではない
一時所得は、次の算式で計算します。
$一時所得=総収入金額-収入を得るために直接支出した金額-特別控除額(最高50万円)$
ただし、ふるさと納税の寄附額を、返礼品の収入からそのまま差し引けるわけではありません。
ふるさと納税はあくまで自治体への寄附であり、返礼品を購入するために支払った代金ではないからです。
また、50万円の特別控除は、返礼品ごとではなく、その年に生じたすべての一時所得を合計して適用します。生命保険の一時金や懸賞金など、ほかの一時所得がある場合は合算が必要です。
控除後に一時所得が残る場合、原則として、その2分の1が給与所得などと合算されます。
なお、返礼品は申し込んだ年ではなく、実際に受け取った年の一時所得になります。
株主優待が雑所得になる理由
株主優待は、株式を保有しているという「株主の地位」に基づいて受け取る経済的利益です。
一定数の株式を基準日まで保有することで、商品、食事券、割引券、ポイントなどを受け取れます。企業が制度を継続する限り、株式を保有することによって繰り返し受け取る可能性があります。
そのため、自治体から臨時に贈られる返礼品とは異なり、
投資資産である株式の保有によって得た利益
という性格を持ちます。
一時所得は、原則として、営利を目的とする継続的な行為から生じた所得を対象としません。株主優待は投資行為との結び付きが強いうえ、ほかの所得区分にも該当しないため、雑所得に分類されます。
国税庁も、株主優待を受け取った場合は「雑所得(その他)」として申告するよう案内しています。
株主優待が配当所得にならない理由
株主が企業から受け取る利益であれば、配当所得になるようにも思えます。
しかし、通常の配当金は、企業が稼いだ利益を株主へ分配するものです。一方、株主優待は、企業の利益を直接分配するものではありません。
株主優待には、次のような目的があります。
- 個人株主を増やす
- 自社商品や店舗を宣伝する
- 株式を長期間保有してもらう
- 株主数を一定水準に維持する
企業に利益が出ているかどうかにかかわらず実施される場合もあるため、税法上の「利益の配当」には通常該当しません。
その結果、配当所得ではなく雑所得として扱われます。したがって、株主優待には配当控除も適用されません。
税務上は金銭以外の利益も所得になる
返礼品や株主優待は、現金を受け取っていないため、所得ではないと思われがちです。
しかし、所得税では、商品、商品券、食事券、ポイント、割引券などの経済的利益も、原則として収入に含まれます。
基本的には、受け取った時点における通常の価格、すなわち時価相当額を収入として計算します。ただし、本人だけが使える割引券などは評価が難しく、具体的な利用条件や換金性によって判断が分かれる場合があります。
まとめ
ふるさと納税の返礼品と株主優待の所得区分が異なるのは、利益を受け取る原因と性格が異なるからです。
ふるさと納税の返礼品は、自治体への寄附に対して臨時に受け取る謝礼です。そのため、法人からの一時的な贈与として一時所得になります。
一方、株主優待は、投資目的で株式を保有していることに基づいて受け取る利益です。配当そのものではありませんが、株式保有という収益活動との結び付きがあるため、雑所得になります。
簡潔に整理すれば、次のようになります。
返礼品は「自治体から一時的に受け取る贈り物」、株主優待は「株式を保有することで得る投資上の利益」である。
この性格の違いが、一時所得と雑所得という税務上の取扱いの違いにつながっています。


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